「悩みから抜け出して、自分をこう変えたい」というゴールが
わかっているあなたも
わかっていないあなたも
こんにちは。
駅からホテルが遠杉田です。
1週間お疲れさまでした!
えー、今回のブログは、セラピーの現場でのお話をしますね。
私、セラピーがはじまると、悩みを一通りお聞きした後、クライアントさんにゴールを明確にしていただくんですよ。
「(悩んでいる状態から抜け出して)どのようになりたいですか?」
「そのために、今から○○さんは、自分のどこを変えたいですか?」
みたいな質問をして。
で、クライアントさんと「そのゴールでOK!」と合意してから、ワークをはじめるんですね。
でもですね、時々、クライアントさんの言われるゴールを聞いて、
「あ、あのぅ、ちょっとそのゴールはですね・・・」
という時もあるんですよ。
ということで、今回のブログは、セラピストがどんな時に、「あ、あのぅ、ちょっとそのゴールはですね・・・」と判断するのか、2つの例をあげてお話したいと思います。
その1 「広告のキャッチフレーズのようなゴール」
悩んでいるクライアントさんに、「どのようになりたいですか?」ってお聞きすると、
「いつも笑顔でいたい!」
「イキイキと毎日過ごしたい!」
とか言われることがあるんですよ。
まぁ、そう言いたくなるお気持ちもわかるんですが、ちょっとファンタジー過ぎるゴールじゃないかと思うんです。(笑)
この「いつも笑顔でいたい!」、「イキイキと毎日過ごしたい!」とかって、ある種の広告のキャッチフレーズのようなものだと思うんですね。
実態がないというか、「それホントできるの?」みたいな。
だって、実際に「いつも笑顔の人」がいたら、むしろアブナイですよね。(笑)
それにメディアで、「いつもイキイキ!」とか紹介されている人が、本当にいつもイキイキしているかっていうと、ちょっと疑問ですし。(笑)
あ、私がセラピーの中での実感としては、このような「広告のキャッチフレーズのようなゴール」を言う方は、「成長が止まっている人」 に多いんですよ。
(「成長が止まっている人」についてはコチラからどうぞ)
成長が止まっている人
「成長が止まっている人」は、自分で自分の考えていることがよくわからないし、自分の想いがあったとしても、それを言語化するのも苦手だから、抽象的な表現になってしまうんですね。
でも実際、「いつも笑顔でいたい!」のような抽象的なゴールを目指したら、かえって自分がどうしていいか、わからなくなると思いませんか?(笑)
なので私は、抽象的なゴールを聞くと、
「ではどういう時にイキイキ感じますか?」
「あなたが笑顔になるのはどういう時ですか?」
とかお聞きして、その方が具体的に何を望んでいるかを明らかにしていきます。
エッ、あなた「本気で「いつも笑顔でいたい!」を望んでいる」ですって?
そ、そ、そうですかぁ。
んー、毎日ディズニーランドに行けばできるかも。(笑)
でもですね、「笑顔じゃない時」があるから、笑顔が光輝くと思うんだけどなぁ・・・
その2 「自分を変えようとしないゴール」
これは、たとえば「仕事を探さなきゃいけないのに、探してない」みたいな悩みを持っているクライアントさんに多いんですけど、こんな感じのやり取りになることがあるんです。
(以下、「ク」は、「クライアントさん」の略です)
私 「○○さんは、本当に仕事をしたいですか?」
ク 「いや、別に働くことがスキじゃないし、できるものなら仕事したくないです」
私 「仕事したくないのなら、仕事を探す気にならないというのは、健全な反応のように思うのですが・・・」
ク 「でもお金が必要だから働かなきゃいけない。自分が本当にやりたい仕事だったらやりたい」
私 「『できるものなら仕事したくない』なのに、『自分が本当にやりたい仕事をしたい』?」
ク 「・・・・・」
このやり取りで、何をお伝えしたいかというと、こういうクライアントさん、
「私が本当にやりたい仕事があるならやるけど、ないならやりません」って、
要は、私がこの悩みから抜け出すのは、「自分しだい」ではなく、「仕事しだい」って言っちゃってるんですね。
(もちろんこういうケースの全部がそうだというわけではありません)
でもそれでは心理セラピーとしての相談にならないんですよ。
というのは、セラピーは「自分しだい」の相談、つまり、「自分がどう変わるか」という相談しか扱えないからなんです。
たとえば、他にそういうケースでよくあるのが、セラピーで、親とか、夫とか、妻とか、会社の誰かとかの不満ばかり言う方がいらっしゃるんですけど、
そんな方に、
「では、○○さん、今からご自分のどこを変えたいですか?」
ってお聞きすると、言葉に詰まるんです。
こういう人が心の奥で言いたいことは、
「私は変わる気がありません。
あなた(不満を言っている相手)が変わりなさい。
あなたが変われば、私はハッピーです」
ってことなんですよね。
でもこれは同時に、「私の人生、あなたしだいです」って認めちゃうことにもなるわけですよ。
でも、「あなた」というのは、「他人」ですから、変えられないですよね。
つまり、セラピーで扱えるのは、
「他人がどうなって欲しいか」ではなく、「自分がどうなりたいか」ってことなんですね。
「他人を変える相談」ではなくて、「自分を変える相談」。
なので、「仕事を探さなきゃいけないのに、探してない」って人の話に戻しますと、
その人が、「私が本当にやりたい仕事があるならやるけど、それがないならやりません」って、「仕事しだい」って話にしている限りは、この悩みは解決していかないんですよね。
でもそういうクライアントさんの言い分は、
「私のやりたい仕事がわかれば、仕事を探します。だからセラピストのあなたが、私のやりたい仕事がわかるようにしてください」
ってことだと思うんですけど、
私の経験では、こういう人に対して、「やりたい仕事がわかるように」というお手伝いすると、答えが出ないことが多いんですよ。
だって、本音は、「できるものなら仕事したくない」わけじゃないですか。
確かにそういう人が「やりたい仕事がわからない」ということも仕事を探せない理由の1つではあると思うんですけど、たいていはもっと他に「仕事を探せない本当の理由」があるんですよ。
なので、「仕事を探さなきゃいけないのに、探してない」って人のご相談の時は、
「仕事探しをはじめると、どんなことが起こるような気がしますか?」
「ではいざ仕事を開始すると、どういうことが起こるような気がしますか?」
とか、その人が「こういう悪いことが起こるんじゃないか?」って想像してしまうことをお聞きします。
すると、
「面接とか、とにかく人から評価される場面が怖い」とか、
「前の職場と同じように、また人間関係でもめるんじゃないか」とか、
「また仕事ができなくて、怒られるんじゃないか」とか、
結局はそういうふうに思ってしまうことがネックになって、仕事が探しをはじめられないわけで、
「やりたい仕事がわからないから」仕事が探しをはじめられないわけじゃないんですよね。
だって、本音は「できるものなら仕事したくない」わけですから。
あ、なんというか、「できるものなら仕事したくない」という人が「仕事をする」というのは、ある意味、「渋々やる」系の話なんですよ。(笑)
(「渋々やる」についてはコチラからどうぞ)
でもそれなのに、その「渋々やる」を通り越して、いきなり「仕事やりたい!」みたいなゴールを設定するのは、ちょっと飛躍し過ぎているような気がするんです。
たとえて言うなら、「私、Aさんのことが大キライです。でもAさんの大ファンにしてください」みたいな。(笑)
あ、話が飛んでしまいましたけど、
先ほどお話した、仕事探しをはじめるにあたって、その人が「こういう悪いことが起こるんじゃないか?」って想像してしまうこと、
「面接とか、とにかく人から評価される場面が怖い」
「前の職場と同じように、また人間関係でもめるんじゃないか」
「また仕事ができなくて、怒られるんじゃないか」
とかに関しては、「心理セラピーで扱える悩み」なんですよ。
だって、それは「自分しだい」の話ですよね。
なので、前よりもそういう想像を弱めることは可能なんですよね。
それが弱まれば、もう少しラクに仕事探しを始められるのではないでしょうか。
というわけで、今回は本当に話があっちこっち行きましたけど、結局、何をお伝えしたいのかというと、
「ゴールの設定」を間違うと、それだけで悩んでしまう
ってことなんです。
「実現不可能なゴール」
「自分じゃどうにもできないゴール」
を望んだら誰でも悩んでしまいますよねと。
あなたはそういうゴールを望んでいませんか?
それでは今回はココまでにします。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
また次回お会いしましょう!